sixqueens’s blog

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【読書メモ】バリュエーションの教科書―企業価値・M&Aの本質と実務

対象

書名:バリュエーションの教科書―企業価値M&Aの本質と実務 著者:森生明

概要

「開かれた自由競争の世界で、強くたくましく行きてゆけるようにならなければと思っている」人をターゲットにしたファイナンスの本。

要点

  • 企業価値の本質はのれんの創造(アイデア、ノウハウ、ブランド、信用など)
  • PBRはのれんの想像力
  • PBR = PER * ROE
  • ROEは足元の効率性
  • PERは将来の期待とリスク

  • 商品仕入の投資効率指標

  • 交差比率=粗利益額/仕入在庫=粗利益額/売上高 × 売上高/仕入在庫= 粗利益率×在庫回転数
  • 店舗投資効率指標=店舗利益/店舗投資額=店舗利益/売上高 × 売上高/店舗数 × 店舗数/店舗投資額= 店舗利益率×店舗ごと売上/店舗ごと投資額
  • 会員囲い込みビジネスの経営管理指標 = 当期利益/株主資本=当期利益/売上高× 売上高/加入者総数 × 加入者総数/純増数 × 純増数/加入者獲得コスト × 加入者獲得コスト/株主資本

  • 企業価値創出力=EV/IC=EV/EBITDA ×EBITDA/IC=EBITDA倍率×ROIC

  • 金融業では営業外収益の値が本業であったり、総合商社などの投資事業を営む会社で投資先が非連結の場合は営業利益の外で収益が形状されたりする等の理由から、EBITDAの計算から漏れる。

  • ネット系企業では固定資産への投資が少ない代わりに、減価償却対象外となる人件費やマーケティング費用に投資が行われる。
  • 半導体企業や携帯電話会社は次世代への投資が前提となる為、投資キャッシュフローを引いた後のFCFや、減価償却費用は再投資に回される前提でEBIT値を見る。

所感

PBRやPER等の計算しただけで満足してしまうような値に対する、言葉を使った意味付けが巧みに思えた。 M&Aに伴う企業価値算出時に、オプション取引の考え方を取り入れて、発生しうるシナリオ毎の収益率を算出する部分に実務っぽさを感じた。